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先進的な取り組みを行っている企業を紹介
ミサワホーム株式会社

 

いきいきと働ける環境をめざして ES向上のための働き方改革

労働力の確保が難しいと言われている今、多くの企業が優秀な人材に長く働き続けてもらうための取り組みを行っています。その一つがES(Employee Satisfaction:従業員満足度)の向上。

ここでは、2018年4月から「いつでも、どこでも、いつまでも、いきいきと働ける環境」を実現するための働き方改革をスタートした、ミサワホーム株式会社の取り組みをご紹介します。

堤内真一さん
執行役員
経営企画・総務人事・情報システム・海外事業担当
BR働き方改革推進室長
堤内 真一(つつみうち しんいち)さん
1989年、トヨタ自動車株式会社に入社。海外勤務を10年、人事部門を12年経験した後、経理部門で子会社の経営管理を担当。2017年1月、ミサワホーム株式会社の顧問に就任。同年4月に執行役員に就き、8月からはBR働き方改革推進室長を兼任。現在は、さらに収益を高めていくため、社外とのコラボレーション推進を行っている。

社員満足度と生産性向上のため
現場の声」を反映した働き方改革を

ミサワホームロゴ

ミサワホーム株式会社は、一戸建て注文住宅や分譲住宅、リフォーム、マンション・医療介護施設・保育施設をはじめとしたさまざまな土地活用や売却などを行う総合住宅メーカーです。
そのミサワホームが2018年4月からスタートした働き方改革について詳しく伺うため、新宿の高層ビルにある本社に伺いました。 お話をお聞きするのは、執行役員の堤内真一さんです。

堤内さんインタビューショット

執行役員である堤内さんは、BR働き方改革推進室長も兼任しています。

大手住宅メーカーであるミサワホームが、どうして今、大規模な働き方改革を行ったのでしょうか。その理由は、大きく3つあると堤内さんは言います。

「1つ目はES(Employee Satisfaction)、つまり従業員満足度の向上ですね。ミサワホームには経営が悪化した時期があり、その時の制度が今でも残っていたんです。だからまず、社員の満足度向上が最優先と考えていました」

そして、2つ目は生産性の向上です。

「たくさんお金をかければ、社員の満足度を向上させることはできると思いますが、それでは会社の経営は成り立ちませんよね。社員の満足度と会社の競争力を強くすることを同時に行うためには、生産性を上げることが必要なんです」

3つ目は、会社全体の制度を整えること。ミサワホームは、2015年に複数のグループ会社との合併を行っており、その時に複数の制度が混在してしまったのだとか。

「同じ会社で働いていても、違う待遇・制度で働いているという社員がいるという不具合が起きていたんです。それを一気に解決しようという狙いもありました」

2017年8月にBR働き方改革推進室を立ち上げ、社員へのアンケートや意見交換会を実施。社員が求めていることや、今不満に思っていることなど「生の声」のヒアリングを行いました。

「いろいろな意見が、本当に山のように出てきましたので、これは優先順位をつけなければいけないと思いましたね。2018年4月からのスタートに向けて、『重要度や緊急度が高いものは何か』という視点で優先順位を決めていきました」

「メンター」や「つながり配属」を実施
会社とのつながりを強化し、早期離職を防ぐ

2018年4月から行われた働き方改革のなかでも、特長的なのは若手社員向けの施策です。
一般的に新入社員は、入社後に導入研修を受け、その後部署に配属。現場の先輩の指導をOJTで受けながら業務を覚え、成長していきます。ミサワホームも2017年までは同じようなプロセスで、若手社員を育成してきました。

しかし、2018年4月に入社したすべての新入社員には、「OJTリーダー」と「メンター」という2つのサポートを導入。OJTリーダーは直接業務を教える所属部署の先輩、メンターは日頃の悩みやキャリアについて相談できる他部署の先輩です。

「仕事や職場の人間関係で悩んでしまった時、同じ部署の先輩には相談しづらいこともありますよね。でも、違う部署の先輩であるメンターには相談できるんです」

導入研修の2カ月間、新入社員とメンターは定期的に話をしたり、時には一緒に食事をしながら人間関係をつくっていきます。そのつながりは、所属部署に配属された後も続き、気軽に相談できるアドバイザーとしてサポートを行います。

「新入社員が辞めてしまうのは、会社にとって大きな損失です。辞めてしまう原因は何か、それは『つながり』がないこと。会社とつながっていないと感じ、孤立しているという感覚を持つことが退職の原因だと思うんです。そうならないために導入したのが、メンター制度です」

若手社員

メンターに相談できる体制をとることで、複数の目で新入社員をサポート。

新入社員と会社のつながりをつくるための施策は、他にもあると言います。
その1つが「つながり配属」と言われる制度。これは全国転勤のある総合職社員を対象にしたもので、導入研修終了後も4カ月間本社所属とし、経営企画や情報システムなど管理部門に勤務した後、現場に配属されるという制度です。

「本社で4カ月間働くことで、会社の業務の流れ全体が見えてきますし、OJTリーダーやメンター以外のつながりを作ることもできます。本社内に強いネットワークを持つことができるのは、大きなメリットだと思いますね」

本社には比較的ミドルからシニア層の社員が多いため、多くの若手社員が本社にいることで、社内の雰囲気が活性化されたという思わぬメリットもあったと言います。

堤内さんインタビューショット

「社内ネットワークを使ったコミュニティを作り、同期とのつながりも促進しています」(堤内さん)

出産・育児・介護など、人生のイベントが
あっても働き続けられる環境を

若手社員向けだけでなく、出産や育児・介護など、人生のイベントに向き合う社員向けの働き方改革もスタートしました。
その一つが、育児中の社員向けの施策です。今までは子どもが小学4年生まで認められていた短時間勤務制度を、2018年4月からは小学6年生まで延長しました。

「これは選択肢の幅を広げたということですね。育休後、すぐにフルタイムで働くこともできますし、それが難しいという社員はゆっくりフルタイムに戻ることができます」

堤内さんインタビューショット

「少子化が問題となっている今、子育てをする社員に対するサポートを充実させることはあたり前のことです」(堤内さん)

また、介護の不安を解消するための施策も行っています。介護業務を行うグループ会社の協力のもと、社員向けの介護相談窓口を設置。また、親の介護のために地元に戻る社員が、その地域のグループ会社で継続して働くことができる「MGファミリー全国転勤制度」も導入しました。

「ミサワホームは全国に支社があるので、どこに行っても仕事を続けられるというのは、大きなメリットだと思います。また、ミサワホームに介護事業を行っている子会社があるため、介護施設を割引価格で利用できるということもアドバンテージだと思います」

しかし、「介護の問題は制度だけで簡単に解決できるものではない」と、堤内さんは言います。自分の親の介護は自分の手でやりたいという思いから、制度を利用しないという選択をする社員も少なくありません。

「気持ちは分かりますが、介護はそんなに甘いものではないと私は思っています。介護だけをずっと続けていると、経済的にも精神的にも破綻します。だから、できるだけ仕事は続けて欲しいですし、一度辞めても職場に戻れる環境をつくりたいと思っています」

そのため、介護休業期間を2年間に拡充。介護などで退職した社員を対象に、一定条件のもとで再雇用する「ウェルカムバック制度」も用意したそうです。

「人生にはいろいろなイベントがあります。どんなイベントがあっても、それがデメリットになることなく、気にすることなく働き続けて欲しいんです」

ミサワホームのパンフレット

ミサワホームには、住宅だけでなく、福祉施設の設計・施工などを行ってきた実績があります。

働き方を変えることで意識を変える、
意識を変えることで、働き方が変わる

休暇制度の充実も、働き方改革の柱の1つです。家族と過ごすための「月イチ・ファミリー休暇」や、資格取得のための「スタディ休暇」、ボランティア活動に利用できる「ボランティア休暇」など、さまざまな休暇制度も始まりました。
これだけでも社員にはうれしいことだと思いますが、「制度をつくってからが重要」と堤内さんは言います。

「休暇を用意しても、なかなか休みをとらない・とれないという社員はいるんですよね。制度を作るだけで、みんなが活用してくれたら楽なんですけど(笑)」

休暇制度を充実させることで、ただ成果を上げるのではなく、しっかり休んで成果を上げることが評価されるのだという意識を社内に浸透させていくことが今後の目標。休暇制度を社員の「働く意識改革」に結びつけたいと、堤内さんは考えているようです。

談笑する社員

本社にある打ち合わせスペースには雑誌もあり、社員の憩いの場となっています。

働き方を変えるという施策には、シニア社員への「評価報酬制度」もあります。
今までは、60歳の定年後、65歳まで嘱託社員として働くという道があり、嘱託社員は基本的に評価が行われていませんでした。しかし、2018年4月からは、嘱託社員の上限年齢を70歳まで引き上げるとともに、仕事の内容に応じた評価制度を導入。能力があれば、70歳まで正社員と同程度の報酬を受けることができるようになりました。

「60歳で定年だと思うと、50代後半からは新しいことにチャレンジしなくなる人もいます。でも、自分のやり方次第では、70歳まで正社員と同じ報酬がもらえるなら、がんばろうという人もいるはずです。『評価報酬制度』は、もっと働きたいという人に、報酬で応えていくための制度なんです」

堤内さんインタビューショット

「70歳まで働くことを考えれば、40代からのキャリアプランも変わってくると思います」(堤内さん)

2018年4月にスタートした働き方改革は、まだ第1段階だと堤内さんは言います。

「まず、不満、つまりマイナスをゼロにしようとしたのが今回の改革です。次は、満足度をプラスに持っていくために何をするべきか。社員へのアンケートやヒアリングをもとに、次の手を考えています」

マイナスをゼロにすることと、ゼロをプラスにすることはまったく別のことであり、違うアプローチが必要になると、堤内さんは言います。

「次は、例えば女性向けの作業着のデザインを変えるとか…。面白いことをやっていこうと思っています」

「いつでも、どこでも、いつまでも、いきいきと働ける環境」作りのため、ミサワホームの働き方改革は、これからも進化していくようです。

前向きな表情の若手社員イメージ

エディターズアイ

「働きやすい職場」と一言でいっても、その内容は性別や年齢、キャリアによって変わります。入社してから自分のキャリアを見つけるまで、出産・育児そして介護といったイベントがあった時、そして定年後、すべてに対応する制度を用意しているということが「いつでも、どこでも、いつまでも、いきいきと働ける環境」作りなのだと実感しました。

2018年4月をスタートに、さらに改革を推進していくミサワホームに、今後も注目したいと思いました。

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