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創刊から52年の育児書にこめた、楽しい子育てへの思い

全国の健康保険組合とタッグを組み、
孤立しがちなママたちを育児雑誌で応援!

JR市ヶ谷駅、四ッ谷駅、都営新宿線曙橋駅からそれぞれ徒歩10分弱、靖国通りに面したビルの2階に、「赤ちゃんとママ社」という会社があります。半世紀にわたり、“安心できる楽しい育児”をモットーに、育児雑誌や育児の実用書、絵本などを手がけてきた出版社です。

赤ちゃんとママ社が発行する書籍

会社設立は昭和40年。当時の日本は高度成長期で、都市では核家族化が進み、すでに育児ノイローゼという言葉が注目されていました。そんなときアメリカの育児雑誌に出会った先々代社長が、その社会的意義を直感。そしてスタートさせたのが、日本で最初の育児月刊誌『赤ちゃんとママ』です。

実は『赤ちゃんとママ』という雑誌は、創刊当時から書店売りをしていません。いったい、どのようにして読者の手元に届けているのでしょうか? 代表取締役社長の小山朝史さんに、販売の仕組みについてお話を伺いました。

代表取締役社長 小山朝史氏

「全国の健康保険組合や共済組合など、独自の販売ルートを開拓し、組合員の家庭で赤ちゃんが生まれると、その家庭に1年間12冊をお届けするシステムを構築したのです。現在は、約900の健康保険組合などと提携しています」

50年以上、赤ちゃんとママの健康をサポートしてきたなかで、たくさんの「読んで良かった」という感謝の声や「雑誌を通して、社会とのつながりを感じられた」という感想が寄せられました。

「育児中の女性は孤立しがちですが、健保ルートで毎月雑誌が送られてくることで、見守られている、応援されているという感覚を持ってもらえるのではないでしょうか」

さらに今後は、月刊誌以外の書籍の出版や、健康保険組合以外のルート開拓にも注力していきたいとのこと。すでに個別の企業との契約や、労働組合、自治体などとの取り引きも増えてきています。

子育てしやすい環境づくりを
事業でも、自社でも積極的に支援

2年前に50周年を迎えた「赤ちゃんとママ社」。これまで以上に幅広い活動で、子育てや女性の健康、働き方といった社会的課題の解決に向け社会貢献していきたいと小山社長は言います。そのひとつが、企業のダイバーシティ(多様性)促進マネジメントという形で取り組む、仕事と子育て・家庭との両立支援です。

「多様な働き方を尊重し、子育てをしている社員を応援しようという企業も増えています。そこで弊社は、育児休業前や復職前のセミナーやパンフレット制作など、さまざまなコミュニケーションツールのお手伝いをさせてもらっています」

事業として取り組むと同時に、自社においても、女性が働きやすく、子育てしやすい環境づくりをしています。産休・育休制度のほか、時短勤務など復帰後の支援も充実。15分の繰り上げ出社も可能で、保育園のお迎えなどのきめ細かなニーズにも応えています。また、子どもの病気に対応できるよう、半休がとれる看護休暇制度も導入しているといいます。

小山社長のインタビューショット

「雑誌制作で培った育児や働き方のノウハウを社員に還元しています。子育て自体が人生のプラスになると考えていますし、弊社の場合は、商品やサービスの企画にもつながるメリットもありますから」

そうした取り組みが評価され、新宿区ワーク・ライフ・バランス推進優良企業 特別賞、東京ライフ・ワーク・バランス認定企業、新宿区優良企業表彰 地域貢献賞など、数々の表彰を受けています。

そんな中小企業のロールモデルとして評価される「赤ちゃんとママ社」では、どんな人材を求めているのでしょうか。

「今後はルート開拓や新しいツールなど、今までと違うことにも挑戦していかなければいけません。そこでチャレンジ精神を持って、あれもできるんじゃないか、これもできるんじゃないかと、そんな気持ちで取り組んでくれる人材を求めています」

小山社長は、「社員とは、働く仲間として信頼し合える関係でいたい」と言います。

「信頼し、尊重し合う関係というのは、ダイバーシティに通じると思うんです。お互いに他を認めるなかで仕事ができれば、仕事も人生もハッピーになるのではないでしょうか」

赤ちゃんとママ社のオフィス

「何人産んでも大丈夫だからね!」
その言葉で、安心して働けると確信

普及部の佐野いお莉さんにも話を聞きました。佐野さんは、入社4年目。前職では、派遣社員として営業事務の仕事に携わっていたのだとか。「赤ちゃんとママ社」への転職のきっかけは何だったのでしょうか。

普及部 佐野いお莉さん

「結婚を視野に入れていたので、将来を考えると派遣では不安でした。結婚しても続けられるかな、出産したらどうなるんだろう、世帯収入が減るのは困るな…と。そこで、結婚や出産の節目を迎えても長く働き続けられる会社に転職しようと思ったんです。できれば定年まで働きたいと思っているので(笑)」

転職活動を始めて1年が経った頃、登録していた転職サイトで「赤ちゃんとママ社」の募集を発見。

「正直、会社のことも雑誌のことも知りませんでした。でも、『赤ちゃんとママ社』という社名が目に飛び込んで来て。ここなら大丈夫!長く勤められる!って直感(笑)。それに、自分が子育てをするときに、仕事内容が助けになるに違いない!と思いました」

その直感は入社してから、確信に変わっていったそうです。

「入社1年後に結婚したのですが、そのときに『これから出産ということもきっとあるよね。それがあなたの力になるはずだから、何人でも産んでいいんだからね』と応援していただいた。会社全体が結婚や出産をプラスに考え、応援してくれる雰囲気があるんです。ずっとここで働いていける、という強い気持ちになりました」

仕事中

ニュース番組をチェックして日々勉強。
相手に信頼される営業に成長!

佐野さんの仕事は、月刊誌『赤ちゃんとママ』など出版物の営業です。契約先の組合を訪問し、翌年度の事業継続のお願いや新商品の案内を行うほか、未契約先の組合にもアプローチをかけていきます。一人が担当するのは150~200組合。佐野さんは、東京都内のほか、静岡の一部、北九州、山口、島根、鳥取、岡山のエリアも担当。年2回ほど、出張して地方エリアも回っています。

営業で外出

入社後2カ月は研修期間として上司に同行し、3カ月目から自分の担当を持ってクライアント先への訪問を始めました。最初の頃は、話の内容についていけずに四苦八苦したと、佐野さんは当時を振り返って苦笑します。

営業で話をするのは、健康保険組合の事務長、常務理事クラスの方たち。佐野さんは、わからないことだらけの自分を隠さず、「教えてください!」という姿勢で、とことんぶつかっていきました。組合の方たちも、そんな佐野さんにやさしく教えてくれたと言います。

「この会社に入社するまでは、テレビはバラエティ番組ばかり。政治にも興味がなかったけれど、話の引き出しを広げるためにニュース番組を見るようになりました。そこで耳にしたワンフレーズを言えるかどうかだけでも、営業トークがまったく変わってきます。本当に、日々勉強です」

情報が蓄積されてくると、一方的に話を聞くばかりだったのが、自分からどんどん話せるようになったと言います。それによってお客様との関係も変わってきたのでしょうか?

「営業の相手として認められた気がします。話にしっかり耳を傾けてくれるようになりましたね」

また、年1回のペースで、普及部発信の小冊子も制作しています。組合がどんなテーマのものを欲しているのかを普及部会議で話し合い、テーマが決まると、編集部の担当者と一緒に作り上げていきます。佐野さんも昨年「女性のライフ&ヘルス」という冊子を担当しました。

編集スタッフと打ち合わせ

「構成や内容、どうしたら読んでもらえるかというのを突き詰めて考えるので、企画を立ち上げるまでが大変でした。でも、前からものづくりに興味があったので、編集のような仕事ができるのはとてもうれしい。お得感があります(笑)」

実は、チラシや販促ツールも営業自身が作っています。デザイナーとやりとりして、自分が考えたレイアウトが形になって出来上がってくると思わず感動。「すっかり仕事の楽しみの一部になっています」と、佐野さんは笑って話してくれました。

子育ては人生のプラス材料。
その考え方が働く人の大きな後押しに

小山社長の話にもあったように、「赤ちゃんとママ社」では、子育て支援、両立支援を中心に、働きやすい環境づくりを推進しています。実際、佐野さんはどのように感じているでしょうか?

「社員の6割弱が女性で、断然、パパとママが多い。子育てしながら働くのは自然だし、安心して働ける雰囲気があります」と佐野さん。女性の育休はもちろん、「パパ休暇」という男性向けの育児休暇もあるとか。残業が少ないのも、子育て中の社員にとって働きやすい環境でしょう。また、子どもと触れ合う時間を大切にしてほしいとの会社の配慮から、出張は平日にスケジューリングする決まりです。

談笑中

「先月、育休明けで復職した社員が2人いるんですよ。私自身は出産はまだですが、産休制度を使う人や復職する人たちが、次に続く仲間のことを考えてくれているのを感じます。自分が道を作れば、きっと後に続く人がいる。そうやって、会社の制度や態勢を整えていってくれるので、本当に心強いですね」

子育て支援の制度はあっても、実際には理解や環境が伴わず、両立できずに仕事を諦める人も多いのが現状。そのなかで「赤ちゃんとママ社」は、出産や子育てを仕事をするうえでのリスクではなく、プラスととらえています。それが多様な働き方を後押しする大きなサポート力になっていると、今回の取材を通じて感じました。

「前職のとき、結婚や出産したときのことを考えて、どうしよう…、でもがんばらなきゃ…って、ずっと重荷に思っていたのがウソのようです」と語る佐野さん。不安が消え、仕事にも人生にもイキイキと向き合うことができているようです。

「私と同じように不安になっている人もいると思います。そんな人たちに、この『赤ちゃんとママ社』のように子育てをプラスに考えてくれる会社もあるということを伝えたいですね!」

佐野さんのインタビューからは、理解がある会社で働く喜びと、仕事を通してパパやママを応援できることへのやりがいの両方が伝わってきました。

小山社長と佐野さん

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