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先進的な取り組みを行っている企業を紹介
TIS株式会社

 

自分らしい働き方の実現へ 社員と一緒に考える「働き方改革」

昨今、「ダイバーシティ」や「働き方改革」という言葉を耳にする機会が増えてきました。今回ご紹介するのは、そうした分野で先進的な取り組みをしている企業です。訪ねたのは、TIS株式会社。1971年創業のTISは社員5,000人超。金融、製造など3,000社を超える顧客のビジネスをITで支える情報サービス企業です。
人事本部 人事企画部 働き方改革推進室長 細谷 悦子(ほそや えつこ)さん
入社後は現場畑を歩み、開発、運用、企画など幅広く経験する。その後、グループ企業の管理統制に関わる仕事に就き、そこで視野を広めたと言う。1年半前に人事部に異動。2児の母として、現場での仕事と子育てを両立させてきた経験を活かし、社員の働きやすさと会社の成長という双方からダイバーシティ推進に取り組んでいる。
人事本部 人事企画部 働き方改革推進室 上級主任 覚野 千春(かくの ちはる)さん
10年間、開発部門に所属し、さまざまな開発プロジェクトに携わる。その間に2児の母となり時短、在宅勤務などの制度を活用してきた。その後、人事部へ異動し、採用をはじめ、人事システムの企画業務などを担当。2014年からは、女性の働き方を含めたダイバーシティ推進に関わる仕事に従事する。

3割の女性社員がお母さん!
フレックスや時短などの支援制度は充実

地下鉄「西新宿駅」から徒歩3分、超高層ビル内にあるTIS株式会社 東京本社を訪ねました。迎えてくれたのは、働き方改革推進室の細谷悦子さんと覚野千春さんです。

広々とした受付スペースでにこやかに出迎えてくれた、細谷悦子さん(右)と覚野千春さん(左)

TISでは、多様な社員が働きがいを実感できる環境や風土、制度づくりをめざし、ダイバーシティの推進を図っています。活動の中心となっているのが、細谷さんと覚野さんが所属する「働き方改革推進室」です。

まずはこれまでの取り組みについて、細谷さんに話を伺いました。

「人事の仕事はまだ1年半ですが、現場を長く経験し、事情をよく知っていることは強みです」と語る細谷さん

「フレックス制度や育児をしている社員向けの時短制度、在宅勤務制度などをかなり早くから実施していましたが、2011年の3社合併という大きなイベントを経て、2013年度頃から社員一人ひとりの活性化をテーマに活動を本格的にスタートさせています」

子どもを持つ女性社員の就業継続のための制度は2000年代半ばに運用を始めており、2013年以降はキャリア形成に重点を置いた環境づくりを行ってきたとのこと。

「その結果、現在、育児休業を取って復職してくる社員の割合は100%。約1,500人いる女性社員のうち、3割を超える500人近くがお母さんなんですよ!」

女性社員の3割が、お母さん! 育児と仕事を両立しながら働く人が、メジャーになりつつあるのですね。TISは、そうした子育てや女性活躍推進のサポートが認められ、『くるみん』マークや、『えるぼし』最高位を取得しています。

『働きがいの高い会社』の実現へ
2018年度から新たな取り組みを開始

2018年度からは、中期経営計画の基本方針の一つに『社員の自己実現重視』を掲げ、「働き方改革推進室」を新設。2020年に向けて『働きがいの高い会社』を実現させることをめざしています。

新たな取り組みについて、覚野さんが次のように答えてくれました。

「現場で働く人達に納得してもらうためにどうアプローチしようかということはいつも考えています」と覚野さん

「テレワークの利用シーン拡大や、在宅勤務やフレックス制度の見直しに着手して、多様な働き方のニーズに対応しようと考えています。テレワークに関しては、すでに7割の社員がリモートワーク用のツールを持っていますし、丸の内にはサテライトオフィスも用意しました。すでに2,000名以上の社員が、週に何度かの在宅勤務や外出先でのモバイル勤務とオフィスワークを組み合わせるなど様々な形でテレワークを利用しています」

7月には、総務省などが実施するイベント『テレワーク・デイズ』に全社を挙げて参加。イベントの期間中は、1,500名(のべ2,600名)の社員が在宅勤務やサテライト勤務などを選んでテレワークを実践したそうです。

丸の内サテライトオフィス

『テレワーク・デイズ』に参加する社員のみなさん。丸の内サテライトオフィスは利用者で満席に

「フレックスについても、これまでは9時、10時開始というコアタイムがあったのですが、コアタイムなしのフレックス制度をスタートさせました。また、時短勤務者もフレックス勤務を使えるようにしたのも、新たな試みです」

他にも、育児や介護をはじめ、がん治療などの病気療養を目的とした両立支援の充実にも取り組んでいるとか。今年からは、治療との両立を可能にする時短制度も取り入れているそうです。

社員をまきこんだ変革プロジェクトで
オフィス改革や通年カジュアルもスタート

こうした取り組みの中で、「働き方改革推進室」はどんな役割を果たしているのでしょうか? その問いに細谷さんが答えてくれました。

「トライアルやチャレンジを重ねながら、試行錯誤の毎日だよね」と笑う細谷さん

「人事が制度を作って単に現場に展開するだけではなく、どうすればうまく活用できるかということを現場と一緒に考えていきたいと考えています。そのために、制度運用後のアンケートや、途中経過をヒアリングしながら、社員の意見をどんどん吸い上げるようにしています」

実際に「このケースでは業務が回らない」といった意見や感想、勤務ルールとの整合性についての問い合わせなどから気づくこともたくさんあるとか。そうやって実態に合う形や使いやすさを考え、試行錯誤を重ねているのですね。

ワクスタ推進メンバー

細谷さん、覚野さんを含むワクスタ推進メンバーたち。率先してTISカジュアルを実践中

また、社員の意見を取り入れる場として展開しているのが、『ワクスタ』という組織横断の活動です。『ワクスタ』というのは、ワークスタイル変革プロジェクトの略称だとか。

「こういう社内システムがあったらいいよね、こんなツールがあったら仕事しやすいよね、というアイデアをどんどん出して、変えていこうと。そういう社内活性化活動や働き方改革の流れの中で出てきた活動です」と覚野さん。

新しいワークスタイルを生み出そうという『オフィス改革』プロジェクト、自由に服装を選べる通年カジュアル『TISカジュアル』などがすでにスタートしているとか。若手ミーティングなどを通して社員の声も積極的に反映しているそうです。

ワクスタ通信

オフィス改革やTISカジュアルはワクスタで社内の声を吸い上げて実現した施策です

お話しを聞いていると、社員の声をうまく吸い上げ、制度化している印象です。しかし「それでも、社員5,000人に浸透させるのは難しい」と細谷さんは言います。

「制度そのものを知らない人がいたり、育児をしている人以外も使っていいの?という認識の人たちも少なくないんです」

そこで、定期的に発行されている社内報を使って積極的にPR。他にも、制度説明会を丁寧に何度も開くなど、直接説明する機会を大切にしているそうです。

働き方改革を業務改善につなげていく

『働きがいの高い会社』をめざすうえでの今後の課題は?と尋ねると、細谷さんは「成果につながる制度活用」と答えてくれました。

会社が目指しているゴールを全社員に着信するために「人事マニフェスト」を公開してしていることも、大事な啓蒙活動のひとつです

めざしているのは、自分にあった働き方を実現させ、それを業務改善につなげていくこと。実は、テレワーク・デイズの参加を強力に働きかけたのも、それをきっかけに、個人も組織も、今の働き方や業務を見直そうというのが狙いだったとか。

「働き方改革で浮いた時間を、人生を豊かにすることにシフトし、人として成長して、それを会社に還元する。たとえば、人とのコネクションを増やしたり、地域社会への貢献に費やしたり。そういう時間や経験が業務のヒラメキにつながってくることもあると思います。最終的な目標はそういう形ですね」

制度をどのように自分のためと、会社のために使っていくか。それをセルフマネージメントしていく方向に持っていきたい。現在は、そのための啓蒙活動をしているところだと、細谷さんは話してくれました。

本社ビルから数分の高層ビル内にあるコワーキングスペースを利用して、プロジェクトの打合せをすることも

働き方や成果の出し方の違いを認め合い
会社のイノベーションを生み出す

覚野さんが、もうひとつの課題として挙げたのは、「真のダイバーシティという意識の醸成」です。

「まずは、ダイバーシティをマイノリティの地位向上や処遇改善などという捉え方をしている人に、一人ひとりが違うものの考え方や価値観を持っているという意味で、誰にでも当てはまる、というところから意識改革していく必要があると思っています」

テレワーク制度にしても、「やっている人はいいなあ」「利用できないのは不公平だ」という声が少なからず聞こえてくるとか。そういう声に対して、働き方が違ってもいいよね、と伝えていく。自分と隣の人は仕事の仕方も、成果の出し方も違う。そこを認め合うベースを作っていくのが大切だと、細谷さんも言います。

「人生100年。子育て後のキャリアに目を向ける女性社員も増えてきました」と話す覚野さん

「会社はなんのためにダイバーシティをしているのか。大事なのはそこだと思う」と語る覚野さん。続けて、次のように話してくれました。

「会社を成長させるために、新しい考え方や人材をどんどん取り入れていく必要がある。当然、違う働き方や違う経歴を持った人も。つまり、イノベーションやコラボレーションにつなげるためのダイバーシティなんです。そのことを着実に浸透させることが大切だと思います」

ダイバーシティの意識が醸成されれば、制度を利用する本人も、単なる就業継続で満足することなく、成果を出す工夫をする。そして管理職側は、より一層成果で評価する。今後はそうした上司と社員のコミュニケーションの活性化や信頼関係の構築にも力を入れていきたいと考えているそうです。

「制度は作るだけではなく、きちんと運用し、活用することが大事。活用や定着に向けてしっかりやっていかないといけないと思っています」と、細谷さんが最後に締めくくってくれました。

社員全員が働きがいを感じられる会社へ! お二人の言葉からはそんな強い意気込みが感じられました

エディターズアイ

働き方改革というと、“働きやすさ”の実現に目が行きがちです。もちろんそれも大事な要素に違いありません。しかし、今回TISのお二人の話を聞き、あらためて“働きやすさ”だけではない、キャリアアップや自己実現、会社の成長ということも含めた“働きがい”という言葉を考えさせられました。フレックスや時短についても、社員の声を反映した使いやすさを追求している姿勢が伝わり、女性社員の3割がお母さんだというのも納得でした。

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